2008-06-01から1ヶ月間の記事一覧

ほら、まただ。 あの日々は、そんなに辛いものだったっけと思い始めている。 寂しい夜には何度も電話をかけそうになる。 手の届く距離にいるときには何度もシャツを掴みそうになる。 あのひとはもう、わたしのことなんか、わたしの愛しいところなんか、わす…

お父さんみたいなお兄ちゃんみたいな恋人みたいな男の子がほしい。

暗い通りを遠くから光を溢れさせて走ってくるのも、乗っているひとたちの暗く沈んだ顔も、白くて安っぽい電気のあかりも、窓ガラスの曇りと雨粒も、それを通して見るぼやけた世界も。 ただひとつ鼻をつくようなこもったにおいを除けば、わたしは雨の日の夜の…

うだるように暑い部屋の中でこころから愛しいと思えるおんなのことふたりで、噛みつきあって、じゃれあって、逃げて、追って、青白い滑らかな肌に赤い傷痕を残して。 お互いの汗が潤滑油になって触れ合った肌をぬらりと滑らせるけど、フローリングにごつごつ…

離れてたってひとつだなんて信じ込んでたきみもわたしもばかだよ。 親友って、なんだったっけ。 そんな言葉信じてたなんて、幼いと笑う? もう知らないひとみたいだね。

わたしこんなにくるしいの。 だいじょうぶわたしだけがわかってあげられるよ。 女子の馴れ合いは反吐がでるほどに忌み嫌っているのに、当事者になるとただの悲劇のヒロインみたいな気分に陥ってしまう、あれは一体なんなんだろうか。

雨の日は、いつもよりうんと音楽のボリュームを上げる。 自然の音がしないと、世界はうんと劇的になる。 電子音で囲われた雨の風景は、不協和音の織りなす完璧な旋律みたいだ。

ただ、たださみしいだけだってわかってるのに。 だれかのしあわせそうな姿を見ると、しあわせそうな話を聞くと、いつだってわたしは、ひょろりと細長いわたしのものだったあのおとこのこのことを思い出さずにはいられない。 あの髪の毛のくせ、子犬みたな瞳…

だれかと似てると思ったり、このひとならわかってもらえると思ったり、日々の暮らしの中でたくさんの期待を抱くけど、結局ぜんぶ勘違いで、わたしの胸はぺしゃんこになる。 だれとも分かり合うことなんかなくて、だれともひとつになんかなれない。 そのすき…

こたえはひとつだけじゃないんだよ。

わたしはずるいから、ひとりで荷物番を買ってでる。 遠くであのひとがわたしを見てるのがわかる。

ほしいほしいほしいあのひとのたしか細かったような指がほしいうねうねした髪がほしいかたっぽ二重でかたっぽ一重の目がほしい映画館で前の席とのあいだにすっぽり収まりきらないできゅうくつそうにしてた長い足もうしろから見える白いうなじもきれいな言葉…

べつにどきどきなんかしないよ。 ただすこし、ずるいなあと思うだけ。

もどんない。あんな辛い日々にもどったりするもんか。 だけど途方もなくさびしいのも事実で、ふいに隣を歩くおとこのこの指と指のすきまに自分のそれをすべりこませたくなるような瞬間がしばしばある。

こんな虚無感を感じるなんて、きのうまでのわたしに想像できた? だれか、わたしのこと、うんと甘やかしてくれないかな。

空が明るくなってしまうと、わたしはすっかり絶望する。

ただ、霧のかかる冷たい朝のしんとした海に放つようにことばを紡ぎたいだけなのに、違うふうにとられるのがいやだからなにも言えなくなってしまう。 のどまで出かかったことばも、まつげのふちまでこみあげた涙も、ぜんぶ、のみこまなきゃいけない。

期待するだけむだだと思った。 なにもかも分かりきっている。 わたしはきっと、叶わない恋をする。

おとこのこは、おんなのこがそっぽ向いたとたんもえる生き物なの? いまは恋愛とかしたくないっていうのに。 (だれかのこと、溶けるくらいすきにはなりたいけど)

いろんなひとがいていろんなことを言うよ。 いろんなひとがいていろんなひとを言うよ。 いろんなひとがいていろんなひとを言うよ。 みんなうるさい。 わたしなんかにかまわないでよ。

空気中に漂っているのは、酸素でも二酸化炭素でもない孤独のかけらで、歩けば顔にぴしびし当たるし、歩みをやめれば全身に次から次へとくっついて層を成していく。 じゃまだ。ひどくじゃまだ。 体の奥へと浸透してくる。 どんどん蝕まれる。 凛としていたい…