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いくつものいやな予感が、現実となっている。
最近のうんざりするほど退屈なやり取りは、全てこのためにあったのか。
「他の子を好きなただの友達だったらよかったのにって、友達だったらよかったのにって、そう思ったんだ」。
きっと私を大切にしてくれるだろう人を、大切に思い返せないのはどうして。
差し出された手を振り払って、独りで馬鹿みたいに苦しんで、旅立ちの歌を口ずさんでいるのは。
私はただ、可哀相な私が好きなだけなのか。
そんなのどうしようもない、無限ループの自慰行為なだけなのに。
わたしはつよいこわたしはつよいこわたしはつよいこ。
目を閉じて三回唱えたら、背筋伸ばして歩いていける。
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七夕は、七月七日という日は、私にとってずっと切ない日であったけれど、きっと今年からは忌むべき日になるのだろう。
見つからないのか。
もう二度と会えないのか。
そもそも生きているのか。
いい加減捨てられたという事実を受け入れなきゃいけないのに、私はまだ与えられるはずだった愛情を欲している。
あんなに酷い仕打ちを受けたのに、あの人に似て生まれてきたからというただそれだけの理由で、あの人に同情さえ抱いている。
お誕生日おめでとう。
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「君は、人は裏切るって言ったけど、私は君のことがとても好きなので、『絶対』って言葉の重みは知ってるから易々と使いたくないけれど、『もしも』とか『きっと』っていう温い言葉が許されるなら、ずっと君のことが好きで私は先天的にあなたのことを裏切らないよ。」
人を、信じなくちゃ。
この子や、あの子や、あの人や、あいつのために、不確かでもそれを信じて、優しい言葉たちに答えなくちゃ。
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夜と、暗闇に光る目と、消えゆく声と、指の仕組みと、温度と。
私たちはただお互いがお互いにお互いの孤独をぶつけているだけなのかな。
だけどそれにしては信じたくなるものが多すぎる。
見えない何か、ふたりを結ぶものだとか。
少しずつ全てが手遅れになっていく。
だからあの時、「あんまり優しくしないでね」って言ったのに。
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悪いことをたくさんした一日。
この天罰は明日下るんだなって思って、夜の新宿にて神様の存在に考えた。
神様。
わたしは十二年間その存在を洗脳されて盲目的に信じ込まされてきたけれど、神様なんて本当にいるんだろうか。
人間は海にいた微生物から進化したのか、それとも土でつくられたアダムと彼の骨からつくられたイヴが人類のはじまりなのか。
お祈りや願い事やお詣りは本当に意味があるのか。
地球上のこんなにもたくさんの人々の願いを神様が一つひとつ聞いているなんて思えない。
だけど悪いことをした後には必ずその報いが降りかかるあれは、天罰以外になんと説明すればいいんだろう。
それともあれはただタイミング悪く起こったことを、後付けで「天罰」に仕立て上げているだけなのか。
分からない。分からない。
でもいないなんて寂しすぎる。
天から誰も見守っていない世界で人々がそれぞれ生きてるなんて結束感がなくなる。
すれ違う知らない人に愛情なんて持っていないけれど、神様がいるって思えば神様と私達の間には明確な境界線があって、だから同じフィールドに立つ凡人仲間だと思える。
神様あなたはいるんですか。それとも幻なんですか。
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眠りすぎた倦怠感の中で、直前まで見ていた白い夢を反芻する。
私はこれ以上求めすぎちゃいけないのかもしれない。
求めすぎるから傷つけてしまうし、裏切られた気になってしまう。
そんなことはずっと分かっているのに。