たとえばわたしに「     」という価値があったとして、たとえばそれが簡単に手に入ったとして、たとえばその手段が道徳的に悪とされていて、それでも別に私が平気なら大丈夫だとそう思っていたけれど、もしかしたら私の知らないところで私の知らないうちに私の質的価値はどんどん下がっているのかもしれない。
あの匂いのする暗く狭い部屋の中で秋代と穢れた自分を重ねて、あんなのまやかしでしかなかったんだと、私は誰にも必要とされてなかったんだということに気づいた。
期待するだけ無駄だとか生きていてごめんなさいだとか衝動でそんなことを思うんじゃなくて、最後に父親の背中を見たあの日からきっともうずっと慢性的に諦めを抱きながら生きていたし、私を取り囲む世界は私を裏切ってばかりだ。
日々の小さな起伏に惑わされながら、それでも誰かと繋がっていたいと、少しでも他人の思う自分であろうと色々演じたりもしてきたけど、何の意味もない、もうやめよう。
深呼吸したって世界は何も変わらないし、私は悪夢ばっかり見続ける。