どうしていつまでも黒い影がつきまとうんだ、わたしにも、あの男にも。
悪い思い出はもうたくさんあるのに、どうして終わらないの。
地獄のような場面を何度も目にして、世界に背を向けて殻に閉じ籠もって、はなればなれになって、もう十分じゃないか、神様。
最後の糸まで断ち切って、どうしろと言うんだ、わたしに何を生きる支えにしろと。
あんな思い出だけじゃなんにもならない、目に見えるたしかなものがなければ。
血縁なんてくそくらえだ。
家庭なんてくそくらえだ。
見返す気力なんか、とうに失ってる。