一晩たったら、全部夢だったんじゃないかって思った。
潔癖なあの人が、彼女でもない子に、あんなことするわけない。
だけど目を瞑って意識をひとところに集中させたら、やっぱりいろんなことを思い出せて、でももう霞み始めているのも事実で。
どうしようもなく忘れたくないから、あの瞬間を映像として残しておきたかったとすら思う。


金曜日にあの子と遊んだとき、好きだなあかわいいなあって思うんだろう。
想像すると眩暈がするけど、仕方のないことだ。
何度一緒になってもわたしたちはうまくいかない。
だからこれからふたりは二番目に好きな人と死ぬまで生きていかなくちゃならなくて、いつか誰か他の人が一番になる日が早くくればいいと強く思うけど、どこかでそんな日は来なければいいと思っていて。


嗚呼、早く会って、また秘密の目くばせしたい。
兄妹みたいに接してれば、誰も訝しまない。
頭撫でられてるくらいだったら、誰も訝しまない。


もう早く会いたくなってるわたしは、馬鹿だ。
何も始まらない。
期待してはいけない。
だけど、いちばん望んだ関係を手に入れたはずなのに、もう欲がでてきてる。
わたしは一体、何をどこまで望んでるんだろう。