初詣でお祈りしたことは、二度とも一緒だった。
将来への道をしっかりと歩けますように。
あの男の子とあの女の子と飽和点を過ぎることなくずっと一緒にいられますように。
あの人よりずっとずっと好きになれる人ができますように。


神様にお祈りするなんて馬鹿げてるってこと分かってるけど、それでも欲しいものがある。
隣を歩いている人の手を繋ぎたくなってしまう瞬間は生活の中にちりばめられているけど、そうすることで妙な縛りをつくってしまうことが怖い。
縛られることよりも、わたし如きに誰かを縛り付けてしまうことが怖いんだ。
例えば新しい道を歩き出したとして、ふとした瞬間に、わたしはあの人を思い出すんだろうか。
それで、苦しくなったりするんだろうか。切なくなったり。
そうなる自分が許せなくて、相手に申し訳なくて、こんな潔癖なはずじゃないのに、もっと適当に男の子に寄りかかれるような人間のはずなのに、それともわたしはまだ悲劇のヒロインぶりたいんだろうか、もう八ヶ月も経つのに。
忘れたいわけじゃない。むしろ絶対、忘れたくなんかない。
わたしはただ、諦めたくて、消化したくて、微笑みながらしっかりと思い出を見つめられるくらいに。
もう戻らないと決めた。失わないために、戻らない。
だけど泣きたくなるような心の揺れはいつ収まるんだろう。
この匂いがただのいい匂いに変わるのはいつなんだろう。
あの人の匂いを布団にひと吹きして、くるまって眠ったりなんて、もう、やめたい。