いつからだろう、わたしの好いている人間は本当はみんなで口裏合わせてわたしを壮大な罠にかけているのではないかとふとした時に思うようになった。
いつも一緒のあの子もお兄ちゃんみたいなあの人もお姉ちゃんみたいなあの人も、わたしを散々浮かばせて喜ばせておいて、本当は裏でわたしを笑ってるんじゃないだろうか、わたしは見せ物で笑い種なんじゃないだろうか。
わかってる、これも一種の自意識過剰で、例えそれが負の感情だろうがわたしひとりなんかに誰もそんなに構ってくれやしないとも思うのだけれど、それでもいつだってわたしは懐疑的でやっぱり誰のことも信じてなどいないんだと、気づく。
その根底にあるのは自分自身の醜さへの嫌悪で、そもそも自分が性悪で汚くて醜いからその存在を他人の中にも疑っているだけだというのに。
俺のこともっとちゃんと信じていいんだよ、信じてほしいよ、と彼はよく言った。
いつかきみが心から信じられる人がきっとみつかりますように、と彼の最後のメールに書いてあった。
じゃあ信じ方を教えてくれよ。
簡単に他人を信じることができたら、あんな思いも、あんな思いも、しないで済んだじゃない、か。
ね。