おふろの中に洗面器を逆さにいれて、その上に座る。
うちのおふろは水位が高いから、そうしないと体中が一気に温まるのですぐに湯船から出たくなってしまうの。
おふろのふたの上にはお気に入りのアラジンのジーニーの長細いタオルを敷いて、その上に手と本を置いて本を読む。
汗が体の上から下へと流れるので、くすぐったいようなかゆいようなかんじがして、もどかしい。
もう限界だなあと5度ほど感じたところで湯船から出たら、頭のてっぺんからつまさきまでをきれいにして、お風呂から上がる。
ファンをまわして、水滴がきたなく残らないように、すぐにタオルで鏡をふく。
Tシャツと、つるつるした生地のブルマーを身に纏って、廊下をひたひた歩いてリビングへ行く。
窓を開けて、冷たい風がゆっくりと部屋に流れ込んでくるのを、その風を浴びながら待つ。
全身がすずしい空気に包まれたら、キッチンへ行って、洗濯機に洗うべき衣類を入れる。
冷蔵庫を開けて、きんと冷やしたピーチジャスミン茶と、とろりと甘いガムシロップをひとすじ注ぐ。それから、小さな氷の粒をひとつかみ。
キッチンの床に、冷蔵庫に向きあうように座って、足の裏を冷蔵庫の扉にぴたりとくっつける。
冷たさが足の裏からつたわってきて、ほてったからだをすこしずつ落ち着かせてくれる。
その感覚にうっとりとしながらレモン水の化粧水をぴたぴたと顔にしみこませて、冷たくてほんのり甘いお茶をごくごくと飲み干す。
すべてが終わって目を閉じると、足下から冷蔵庫のうぃーんという機械的な音が聞こえてくる。
夜と、闇と、蛍光灯の白々しい光と、口に残るお茶の甘みと、ほてりと、冷たさの中で。